右手と共に

右手の役割を広範囲にわたりお伝えしたいと思っています。

事前消化をしると健康にいい!!



酵素と事前消化を理解してください。
以前まとめておいた資料からです。
かなり長文・・・・・です。


酵素とは?植物酵素とは?
 身体の生化学反応が起きている。この反応の仲立ちをするのが酵素である。
消化不良              →消化酵素の不足
ホルモンの異常           →ホルモン生成酵素のトラブル
血液濃度調整            →10余種類の酵素が関与
体質的にアルコールが飲めない人   →アルコールを分解する酵素が不足
 人体の中には3000余種類の酵素が働いている。


事前消化とは 
 牛、羊、鳥など複数の胃を持つ動物の最初の胃は消化酵素を分泌していず、ここは適当な温度と水分を与えて食物中の食物酵素がよく働いて食物の分解を促すようにしているだけである。こういう胃を私は食物酵素胃と呼んでいる。→これを事前消化という。


体内酵素製造能力の負担が軽くなるからだ。そして、この消化酵素製造の負担が軽くなることが健康と長寿の決め手になる重要なことなのだ。
 人間にも実は胃は二つあるのとおなじである。正確には人間の胃は二つの部分に分かれていて食道から最初に食物が入る部分では牛や羊などの第一胃と同様に消化酵素分泌はなく、食物酵素による事前消化を行い、食物がそれ以降の段階に進むと消化酵素が分泌されるようになっている。つまり消化酵素を節約するようになっている。食物酵素不足と病気


 つまり人体の機能には全て酵素(代謝酵素)が関与している。そして一方、体の酵素製造能力には限りがある。食物酵素不足の食物だといまいったように事前消化をおこなわない分だけ次の本格的な消化の段階になって体は消化酵素を余計につくって分泌しなければならない。この結果、限りのある酵素製造能力の中で余計に消化酵素を造る分だけ体は代謝酵素を少ししかつくれなくなる。そして体の機能にトラブルが生じて病気にもなるし、なった病気が治りにくくもなる。代謝酵素の中には病気を防いだり治したりする酵素もあるからだ。


動物園の動物は人間と同じ病気になる
 高価な動物の健康と生命を最大限に長く維持させようとするならばビタミンやミネラルを加熱処理した餌に加えてみてもダメで、その他に何かが必要になる。いまではアメリカの全ての動物園が多かれ少なかれ生の餌を与えるようになっていて、生の餌が多い動物園ほど動物が死ぬことが少ない。


 フィラデルフィア動物協会の病理学者フォックス博士は飼育されている野生動物の病気の状況を調べた。彼の著書には沢山の図表や顕微鏡写真、1923年以後の20年間に死んだ動物や鳥の5000件以上の解剖記録などが納められている。この時期にはまだ現在動物園で実施されているような餌の与え方にはなっていず人間にも起きているのと同じ病気が動物たちにも多く発生していた。博士の著書には動物にも多かった病気や症状が少なくとも30種類は載っていて、その多くに組織診断も付いている。この中には急性あるいは慢性の胃炎、十二指腸炎、腸、肝臓、腎臓の病気、心臓病、悪性貧血、甲状腺の病気、関節炎、ガン、肺結核、血管病、副腎の病気などがある。


 少なくともある地域の動物園に関しては生の餌を与えるようになった以後はこんなに沢山の病気などみられなくなっているといっていい。加熱調理という点で人間の食物に似た餌を与えれば動物園の野生動物にも人間に見られるのと同じか、よく似た病気や症状が出てくるというのは興味深いことである。
 20世紀前半のアメリカ動物園では加熱処理した餌を動物に与えていた。この頃は動物に病気が多く死亡率も高かった。心臓病、糖尿病、ガン、肝臓病などなど人間と同じ病気を起こしていた。
生の餌の重要性が認識されるようになって今では動物園の動物も野生動物と同じように病気を起こさなくなっている。


太らせる方法
 その昔から牧場主たちが経験でよく知っていたことである。彼らは同じジガイモでも煮て食べさせたほうが豚などがよく太ることを知っていてそうして来た。生のじゃがいもより家畜が肥満し、目方で売る食肉市場ではこのほうがずっと有利だからである。これも加熱調理で食物酵素が破壊され、家畜が酵素不足になった“おかげ”であった。



 酵素とビタミン、ミネラル、タンパク質
 酵素は全ての生化学反応の仲立ち役なので、これなしにはビタミン、ミネラルなどが幾らあっても体内で働くことができない。蛋白質など体を造る材料があってもこれだけは細胞も体も造れない。建築作業をする労働力がなければ建築材料はあっても家が建たないのと同じで酵素はこの労働力だと考えると判り易い。
 ビタミン、ミネラルといった栄養物質がちゃんと摂られていても酵素不足だと体の機能が健全には動かないことは多くの動物実験でも確かめられている。


 人類は膵臓肥大症で小脳だ!
 加熱処理した食物を多く食べて来た人類の奇形児ぶりは多くの研究で明らかになっている。一口でいうと膵臓や唾液腺が大きく肥大し、脳は本来の大きさより小さく、血液中の酵素が少なく尿中に排出さる酵素の量は多いといった“異常”が人類の特徴である。


  ネズミも酵素不足の餌で飼うと膵臓が肥大し、脳は小さくなる。また野生の動物に比べ飼育されているものは膵臓が大きく脳が小さい。これから判るのは人間の脳は本来はもっと大きくていいはずだということである。酵素を十分に摂れば脳ももっと大きくなり頭もよくなる!
 若い人の早熟ぶりが話題になって久しいが、これも酵素不足なのは確かだろう。動物実験で酵素不足にすると動物は早熟になり体重がばかり異常に増えるといった現象が起きる。多分これと同じ現象なのだ。


  動物実験でネズミに生の餌を与えた場合は寿命が三年なのに加熱した餌だと2年しか生きないという数字が出ていて、これはネズミ以外の多くの動物実験でも似たような結果になっている。つまり、寿命は30%ほど生の餌だと長くなる。
 今日までのところ酵素剤などのサプリメントを補って人間の寿命がどれだけ伸びるかといった厳密な科学的データはないが2~30年ぐらい伸びると期待してよさそうである。


 


 食物酵素胃の働きを無視する人間
 現在では蜂蜜は全て140~165度F(60度C~74度C)の温度に24~72時間さらされる。こうすると蜂蜜が固まることがなくなるからだ。また、今日では安い砂糖が豊富に出回るようになり昔のように蜂蜜は使われなくなってもいる。それに果物ジュースも今日では缶詰めになったものが一般的で、これも加熱されている。


 加熱処理した食物は消化酵素を過剰に分泌させる
○  体外酵素も栄養的に大切だ
人体の酵素製造能力だけでは不十分だ
 人間は自分以外のものから酵素の助けなしに満足に生きていられるという議論は根拠あるものではないことになる。とはいえ細菌からの酵素を頼りにすることには議論の余地があり、私は酵素欠乏の人間が細菌のつくる酵素を不自然に求めたりするのは細菌性の病気を招き易くなるということを示す証拠も知っている。



   食事の問題点を指摘したオアーら
 ここで生の食物の効果を幾つかの実験で見てみよう
 スコットランド、アバーディンのロウエット研究所のオアーらは二年半にわたって多数のネズミを飼い、餌は人間の食物を同じものを与えた。この中には人間が食べるごく普通の25種類の加熱した食物が含まれていた。この他に別に多数のネズミも飼い、こちらには生の野菜や生牛乳をネズミが好きなだけ与えた。人間と同じ食物のネズミ1211匹、生野菜と生牛乳を補ったネズミ1706匹を飼った。人間と同じ餌のネズミは血液中のグロブリンのレベルが低く、繁殖能力も少し低下していて感染症にかかり易かった。また行動と毛の状態で測定して臨床的にも劣った状態だった。そして死後の解剖で腸炎、肺炎、貧血、心膜炎が多く見つかった。オアーらは「人間も相当に多くの人が食事中の栄養が最適状態とは、はるかにかけ離れていることが、いまのことから示唆される」と書いている
 人工的な餌にビタミン、ミネラルを補いながらも酵素は不足しているといった餌でネズミをかったマッケイらはネズミにガンや肺、腎臓、生殖器などの病気が沢山出るのを観察した。そして次のように報告している。
 「この実験は4年間続けたが、多くの病気が出た。これらの病気は普通のネズミの集団ではまれにしか出ない病気だった。普通のネズミは実験ではネズミの一生の真中を過ぎた時には実験対象から外してしまうが、これはそれとは違ってネズミの老年まで飼い続けたためであった。早く一人前になるネズミでは毛がずっと早く荒れるのが目立つようになるのだった。実験の進行につれて多くのネズミが眼が見えなくなり、大ざっぱにいうと二歳をこえたネズミの少なくとも半数がそうなった。年取ったネズミは尿道に病気が増え、血尿がしばしばだった。」




 牛乳の加熱殺菌をめぐる議論
  母乳のよさは生の乳のよさだ
 ラッシュ医大のグルーリー、サンフォード、へロンの三人は産まれた直後から月齢9か月までの20.061人の赤ん坊で生の人間の乳(母乳)と殺菌した牛乳の違いを比較してみた。48.5%の子供は完全に母乳だけ、43%の子供は母乳と牛乳、8.5%の子供は牛乳だけだった。病気になった子供の比率は母乳だけの子で37.4%、母乳と牛乳併用の子で53.8%、牛乳だけの子は63.6%だった。また死亡した子は全体で1.1%いたが、このうち母乳だけの子は6.7%、母乳と牛乳の子、27.2%で残りの66.1%は牛乳だけの子だった。ここで注目すべき母乳の子は生の乳で人口栄養の子は殺菌牛乳だったという事実である。
食物酵素を人間の健康に関する他のいろいろな事実も含めて考えていまの結果を評価すると母乳の子に見られた好ましい現象は彼らが母乳から摂っていた酵素が原因だと考えて間違いないということになる。
 ボストンでの調査からクレーザーは発育の遅れ、感染症、栄養障害、胃腸の病気が人工的には母乳のこどもよりずっと多く発生するとした。
 母乳の子供の死亡率は人工栄養児の五分の一から三分の一、病気にかかっている期間も四分の一だったという。
 ロンドン病院のスポローセンは生牛乳は人間の歯に大きなプラスで歯の病気にずっとかかりにくくなると指摘した。歯を造るうえで生牛乳は殺菌牛乳よりいいのだという。精製炭水化物が多い食事をしていたのに生牛乳の生後四ヶ月半から四歳までの子供四〇人では一人も虫歯にならなかった。
 ライプッィヒの大学の小児科のクリニックのカテルは六人の未熟児に十六日間人間の生の乳を与えたところ順調だった。次に人間の乳を100度Cで十五分間熱したものを十六日ないしはそれ以上に赤ん坊が耐えられる期間与えた。すると加熱した乳では成長の度合いが低下し下痢も起きた。鼻やのどにカタルの症状が起き、また蛋白質などがうまく体内で利用されていないのも判った。
 ネズミに生牛乳と殺菌牛乳を与えた比べたラスビー、パーマーは二人の生牛乳のネズミでは殺菌牛乳のネズミに比べて骨の密度や骨の中のカルシウムやリンの蓄積が少しも多くなったと報告している。
 チャノン夫妻は白い小麦粉で造ったビスケットに鉄、銅、マンガンといったミネラル分を補った餌と牛乳を若いネズミに48週間与えて実験した。他の餌は同じにし、一方のグループには生牛乳、他方のグループには殺菌した牛乳を与えて比べた。48週間後に体重を測ると殺菌牛乳のグループは生牛乳のグループに比べて10%体重が少なかった。この実験では全く同じ牛乳を使い、一方のグループには生のまま与え、一方のグループは同じ牛乳を殺菌して与えるというやり方をしたのだった。


  あなたのヨーグルトでは役立ちません!
 低温殺菌でも酵素は破壊される
 リーディング大とナショナル酪農研究所のマティック、ゴールディングの二人は七組の親から生まれたネズミを三つのグループに分けて飼った。小麦、水、脂肪の入ったウォーター・ビスケットを餌にして生牛乳、低温殺菌と殺菌牛乳に分けて飼った。このやり方で最初の世代のネズミを除き生牛乳のグループでは五世代まで子ともが生まれ、低温殺菌牛乳では三世代、殺菌牛乳では子どもが全て生まれなかった。生と低温殺菌での牛乳で飼ったネズミは殺菌牛乳のグループより体重が重く、三世代では生牛乳で飼ったグループのほうが、平均体重が低温殺菌牛乳のグループより重かった(最初および二世代ではそうではなかった)。低温殺菌牛乳の二世代のネズミの骨の量は生牛乳の二世代のネズミよりカルシウムの量と骨の密度が少し低かった。低温殺菌のグループの第二、第三世代では脱毛が生じたネズミもあった。


最初の実験では七組の親から生まれたそれぞれ18匹ずつのネズミの二つのグループにビスケットと生牛乳か低温殺菌牛乳を与えた。第二世代では二つのグループのネズミの体重に差がなかったが第三世代になると低温殺菌のグループのネズミの体格は異常に小さくなった。そして、このグループでは第二、第三世代になると脱毛も起こった。しかし生牛乳のグループではそれは起きなかった。生牛乳と低温殺菌のそれぞれの第二世代のネズミの血液中のヘモグロビンの量は前者のほうが少し多かった。


 低温殺菌が牛乳の栄養に与える影響を先入観なしに調べたのがウィスコンシン大の農業化学や酪農産業の研究者エレべヘム、ハート、ジャクソン、ウェッケルらの研究である。この実験はいろいろな季節にネズミをグループに分けてやったもので、鉄、銅、マンガンを補った餌と生牛乳か低温殺菌の牛乳かを与えた。その結果が下の表である。


最初の6週間の一日当り体重増加(グラム)
実験開始日 生牛乳グループ 低温殺菌牛乳グループ
雄 雌 雄 雌
1932年10月26日 4.55 3.04 4.36 3.04
1933年4月21日 4.00 2.66 3.49 1.91
1933年10月14日 4.19 2.88 3.90 2.59
1933年12月27日 3.32 2.11 1.96 2.52
1934年2月6日 2.45 3.14 1.14 2.12


 低温殺菌は牛乳の栄養的な価値に目立ったダメージを与えるが、牛がある種の重要な栄養を含んだ青い草をふんだんに食べている時期の牛乳だとダメージの程度は小さくなる。エレベヘムらの研究報告は次のように書いている。


「低温殺菌牛乳が生牛乳と栄養的に変わらないものかどうかとう問題に関して、これまでに報告されている研究の中には価値のない研究もある。低温殺菌牛乳を進めようとするグループ、逆にこれに反対しようとするグループの資金援助でなされた研究だからだ。ビタミンCの欠如ということは二つの牛乳の違いとしては問題になるものではない。なぜならばネズミは食事中のビタミンCを必要としないからだ。われわれの実験動物のネズミにビタミンA、B、Cが不足していたということを示唆するものはない。」


 注目すべき日本の研究
 いろいろな温度で加熱した牛乳が若いネズミの成長や生命維持に役立つがどうかを調べた一連の注目すべき研究が日本にある。東京帝国大学と国立伝染病研究所の岡田と佐野が行なった実験がそれで二人はネズミのグループに生牛乳や60、80、100、120、140度Cで30分加熱した牛乳を与えて調べた。それぞれのグループは10匹ずつのネズミで構成されていた。たとえば60度Cで加熱した牛乳を与えたグループにでは七週間後の測定で生牛乳のグループに比べて平均体重が60%軽かった。80度Cで30分間加熱した牛乳を与えたグループは当初は体重が増加したが、その後はやせて三週間のうちに死んだ。ネズミの死亡状況は次のとおりだった。
 80度Cで加熱した牛乳の場合・・・3週間のうちに死亡
 100度Cで加熱した牛乳の場合・・・2週間のうちに死亡
 120度Cで加熱した牛乳の場合・・・1週間のうちに死亡
 140度Cで加熱した牛乳の場合・・・3~5日のうちに死亡


 ○ 原始エスキモーに学ぼう
 病気を知らない原始エスキモーたち
 彼らの食事は一般には健康にはよいとされていず、最上の健康を生むのに役立つとはされていない肉と魚が中心であるに関わらずそうなのだ。私はほとんど全ての医者が大量の動物食品を食べる(それが豊富な季節では一日あたり10ポンド以上もたべるといわれる)彼らの食事を危険なものでないとしても体に大きな負担をかけるのもと考えるのには間違いないと思う。しかし彼らは肉を普通生で食べるし、そのほうを好むのが彼らである。だが、私は彼らは肉を普通生で食べるし、そのほうを好むのが彼らである。だが、私は彼らが食物のうちの多くを生で食べるという事実が彼らにこれほどレベルの高い健康状態を維持させているのだということをこれまでに紹介してきた立場から、ここでは改めて強調する必要もないと思う。このエスキモーたちは食物をその自然な状態で食べていて、この点で野生の動物たちと変わらず、もともと食物中にある食物酵素もフルに摂り入れているわけである。


 インディアンは関節炎を起こしていた
 これに対しアメリカ・インディアンとかジャングルの住民たちは食物や動物を原料にしたいろいろな薬を多かれ少なかれ発達させて来ている。これらの民間の間では薬の必要も大きいように思われる。このような系統立った医薬品類は彼らの間では多くの食品が加熱処理されるようになっているという調理の風習の浸透に伴って出現して来たものと考えると興味深い現象である。他の点では健康的なはずの野外の生活もある種の病気を防げないということになる。いまに残っている骨格の遺物で見て古代のアメリカ・インディアンには関節炎があったことが判る。したがって、関節炎がビタミンの不足などが原因だとする説に反証する十分な理由がここにはある。なぜならば、これら原始的民族は小麦粉も精白せず、果物や野菜の皮をむかなかったし、砂糖のように精白してカロリーだけが濃縮された食品も使わなかったことから見てビタミンやミネラルの欠乏があったわけはない。しかし加熱料理によって酵素不足の食事にしてしまっていて、それが他の面では健康的だったはずの彼らの間に病気が起きた理由の唯一の説明だということになるからだ。
 治療食や食事療法のことを知っている人なら誰でも何らの形で生の食品を摂らせる療法が効果を上げる実例に触れた経験があるはずである。サリスバリー・ダイエットの効果はレアの肉を使う点にあったと説明できよう。このダイエットでは肉はレアに焼くので肉の内部は生のままで自然な酵素がいきている。ポッターの生牛乳が世間で普通に入手できた頃には広く使われていたものである。グレープ、リンゴ、オレンジ、野菜などを生で食べる食事療法はこれをやったことのある人間は間違いなく、その効果を体験していよう。
 マクミラン北極探検隊の医者トーマス博士は肉を食べるグリーンランドのエスキモーは食物は生で食べ、心臓病、腎臓病、壊血病、くる病などの傾向がないのに肉を調理し、乾燥食品、缶詰め、調理済み食品などを多用するラブラドルのエスキモーは壊血病やくる病に非常になり易いと指摘した。グリーンランドのエスキモーの食品は鯨、セイウチ、アザラシ、トナカイ、北極うさぎ、北極熊、狐、ライチョウ、その他多くの海カモメ、カモメ、ガン、あひるなどの鳥、それと魚などでこれを生あるいはできるだけ生で食べる。動物の脂肪層は照明や暖房に使い、溶けた氷や雪が飲料水になる。調理した食物はとても少ない。


 大量の脂肪を摂っても健康なエスキモーの秘密
 パトナム・バフィン鳥探検隊の一員としてここに渡ったワシントン大医学部の生物化学と生理学が専門のハインベッカーはこの島のエスキモーの血液と尿を分析した。全ての尿に糖はなく、彼らにはケトン症もなかった。彼らは脂肪を体内で完全に燃焼させる驚くような能力があって空腹時の尿にもアセトン体が少ししか排出されていなかった。蛋白質や脂肪ばかりが代謝される時にほとんどの人にケトン症が現れることはよく知られている。シャッファーの分析だとエスキモーの食事を温暖な地方の人間に食べさせるとケトン症が起こるという。エスキモーの食事は高蛋白質でかつかなりの量の脂肪を含んでいるので他の要素が同じならケトン症になって当然である。しあし、生で食べることが大きな意味があるのだった。ネフリァキンとべレジンの観察では血液と臓器の中のリパーゼは少ないが安定していて確実に増えるという。リパーゼは生で自然な脂肪の中には多かれ少なかれ濃縮されて含まれている脂肪分解酵素である。


 エスキモーがケトン症にならないのは生の食物から体に入るリパーゼのおかげで加熱料理した食物を食べている者より脂肪の代謝がよくなっているからだと考えていい。ハインベッカーはエスキモーたちは大部分の肉を部分的に煮て食べるが残りの部分は生のまま残っているのだと報告している。また凍たせた肉も普通生で食べる。どんな種類の食物もしばしの間は貯蔵しておいてから生で食べるが、この貯蔵の間には食物は“ハイ”(自己分解した状態)になっている。


 北アラスカのエスキモーの中で何年も暮らしたガーバーは彼らの習慣を観察し次のように書いている。
「魚は穴に入れて上から草や土で覆う。これで魚は醗酵し腐る。本当にびっくりしたことだが、彼らはこういう腐った、有害な食物を食べていて元気なのだ。読者は火を通せばこの腐った食物の中の有害なものも破壊できるのになどとは考えないで欲しい。彼らの普通の食べ方はこれをそのまま生で食べることなのだ」


 プライス博士らの観察から
 プライスは虫歯の発生を調べるためにアラスカのエスキモーを訪ねた。そして文明と接触して現代化されているエスキモーでは歯の数1000本当たりで130本の虫歯があるのに原始的なエスキモーでは0.9本だという調査結果になった。
 アクラビクに近い北部カナダのエスキモーの中で医者をしているアークハルトはこの地方で七年間臨床医をしている間に一人のガン患者も診たことがなかったという。胃や十二指腸の潰瘍、急性または慢性の胃炎、壊血病などもきわめて稀だった。歯もきわめて上乗の状態であった。リュウマチ熱、喘息、普通の風邪も稀だった。七年間にやった何千件もの尿調査の結果も全てよく、七年間で一件の糖尿病もなかった。魚が彼らの食事の中心で、これも彼らは完全な生か、とても“ハイ”な状態にしたもので食べていた。


 ステファンソンはマッケンゲー河地域のエスキモーの間で何年も暮らし、彼らの平均的な健康水準がきわめて高いこと、虫歯、壊血病、くる病、ガンが全くないことを報告している。肉を煮る時にはレモンからグレープフルーツぐらいの大きさまでいろいろな大きさの凍った肉の塊を水に入れて弱い火にかけ沸騰が始まるまで煮るだけだという。このやり方では肉の内部まで酵素が破壊される温度まで熱くなるかどうか疑わしい。ステファンソンはエスキモーのやり方では肉の塊の内部はレアの状態でなければいけないことになっているのだといっている。こんな訳で彼らの場合は火を使った肉でも酵素が幾らか残っているのだと考えている

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